鈴木家の長男・浩一がある日突然この世を去った。ショックのあまり記憶を失った母のため、遺された父と長女は一世一代の嘘をつく。「引きこもりだった浩一は家を出て、アルゼンチンで働いている」と。父は原宿でチェ・ゲバラのTシャツを探し、娘は兄に成りかわって手紙をしたため、親戚たちも巻き込んでのアリバイ作りにいそしむ。すべては母の笑顔のためにーー!母への嘘がばれないよう奮闘する父と娘の姿をユーモアたっぷりに描きつつ、悲しみと悔しみを抱えながら再生しようともがく家族の姿を丁寧に優しく紡ぐ感動作。家族の死と、そこからの再生という重厚なテーマを心に沁みいるハートウォーミングな喜劇に仕立てた、まったく新しい家族映画の傑作が誕生した。